カジノIR法

「ギャンブル依存」教育が先手 長崎県など独自策 出前講座、冊子で予防へ

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致が進む中、学校でギャンブル依存症について学ぶ動きが広がり始めている。IR誘致に力を入れる長崎県などでは、学校に出向いて講座を開いたり冊子を作成したりと、独自の予防対策に着手。2022年度から高校でギャンブル依存症の予防教育が必修になることから、文部科学省は3月、教員向けに依存症の基礎知識を盛り込んだ参考資料を作成した。早期に正しい知識を身に付けることで、依存症を防ぎたい狙いだ。

長崎県は、IR整備推進法が成立した16年度から「長崎こども・女性・障害者支援センター」の職員が高校や大学で、依存症対策の講座を開いている。それ以前から依頼があれば実施してきたが、ギャンブルやゲーム依存を新たに内容に加えた。17年度は県内13校で開催。精神科医による具体事例の紹介や、クイズを使った傾向診断などを行い、依存症を身近な問題として注意喚起している。

九州7県のうち、県が主体となり予防教育に取り組んでいるのは長崎のみだが、鹿児島などでも依頼があれば保健所の職員が学習会を開いている。

長崎と同じくIR誘致を進める大阪府と大阪市では、昨年度から府内の高校を対象に医師や精神保健福祉士らによる出前講座を実施。本年度は、依存症についてより生徒たちの記憶に残るよう動画を作成し、高校の教材として活用してもらう予定。和歌山県は、本年度中に小中高校の予防教育で使うリーフレットを作る。県立高校での専門家らを招いた授業や、スマートフォンやネットへの依存度を調べるチェックシートの作成も検討中という。

IR整備推進法は付帯決議に、ギャンブル依存症について教育上の取り組みを進めると明記。22年度から実施される高校の新学習指導要領は、保健体育の授業でアルコールや薬物などの物質依存に加え、ギャンブルに過剰に参加すると「行動嗜癖(しへき)」に陥り、日常生活に悪影響を与えることを教えるよう求めている。

文科省の参考資料には、ギャンブルにのめり込むと脳の機能が低下し、コントロールが利かなくなる仕組みを絵や図を使いながら紹介。社会や対人関係に及ぼす影響についても言及し、ギャンブルの開始年齢が早いほど依存に陥りやすいと指摘している。

また、スマートフォンのゲームでアイテムを入手する有料くじ「ガチャ」は射幸性が高く、ギャンブルにつながる危険性があると記載するなど、若年層がはまりやすいゲームとの関連性についても注意喚起している。依存に陥った場合は、精神保健福祉センターへの相談や、自助グループへの参加、医療機関での治療を勧めている。

知識習得、支え合い可能に

長崎こども・女性・障害者支援センター精神保健福祉課の寺崎秀子課長の話ギャンブル依存症は、早い段階から「自分の意思ではやめられない、誰でもなり得る病気」と認識することが大事だ。正しい知識を習得することは自らの回復や予防に役立つだけでなく、人の症状にも気付きやすくなり、周囲で支え合うことが可能になる。

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