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【巨人】引退決断、阿部、けがとの闘い証明した骨片…番記者が見た

巨人・阿部慎之助が、現役引退を決断した。坂本勇らナインからは慕われ、兄貴的存在としてもチームを先導してきた。プロ19年間に数々の偉大な記録を達成した背番号10。本紙の「阿部番」だった水井基博記者(08~13年)がコラム「見た」で素顔に迫る。

数々のけがと闘ってきた。そんな阿部の、超人的なすごさを証明した“逸話”がある。今月15日の阪神戦(東京D)で右手に死球を受けた。当初はあおむけで倒れ込み、周囲は心配した。そのままベンチに下がって、病院へ。その診断中、撮ったMRIの画像を見た医師は、「骨折しているかも」と疑ったという。事実、右手親指の第一関節付近に骨片が見つかったからだ。

阿部は画像を見ながらも信じられず、「いや、折れてないと思います」と訴えた。では、骨片は何なのか―。その日の死球で剥がれたものではないのか―。実際、患部を触診されても痛みはなかった。その場に、疑問だけが残った。阿部はふと思いついたように、「過去にデッドボールが当たった時に、我慢して病院に行かなかったこともある。その中で折れていた時があったのかも。それが残っていたんでしょうね」。サラリとした姿に、医師も驚いた表情だったという。

“お友達”はボルタレンという痛み止めの薬だ。慎之助と安田学園高時代からの同級生で、苦楽を共にしてきた個人マネジャーの岩舘善広氏は「ボルタレンを飲んでいる姿を見るのが何よりつらい」と言う。唯一、阿部が弱音をはける間柄で信頼度は絶大。今シーズン中、来季の進退が決まっていない頃、「現役は続けてほしい。でも辞めればボルタレンを飲まなくて済むんだよね」。そう言いながら、大粒の涙を流していた。

骨折していても、チームのために、勝利のために我慢しちゃう男だ。「あっち痛い、こっち痛いって言ってるくらいなら、プロ野球選手なんか辞めた方がいい」とまで話していたのが印象的だった。今思えば、あえて強がったのだろう。そうでも言わないと、やってられないのだろう。「気を抜いたら、この世界は落ちるだけ」―。それも、もうすぐ終わる。何とか、けがなくまっとうしてほしい。それだけを願う。

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