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米国で進化するサニブラウン=決勝へ、カギはスタート-世界陸上27日開幕

陸上の世界選手権が9月27日から10月6日まで、ドーハで開催される。東京五輪の前哨戦と位置付けられ、マラソンを除く個人種目は「メダリストで日本人最上位」になれば五輪代表に決まる。メダルや入賞の期待がかかる日本の主力選手にスポットを当てた。

海を渡って2年。十代から将来を嘱望されてきたサニブラウン・ハキーム(米フロリダ大)は、才能を大きく開花させようとしている。男子100メートルで9秒97の日本新記録を樹立し、日本選手権は2年ぶりに100メートルと200メートルの2冠を達成。世界選手権100メートルで日本勢初の決勝進出なるかに注目が集まっている。

スケールの大きな走りに磨きが掛かった。筋力トレーニングにより、体重は昨季より5キロ以上増えて約85キロに。一歩の出力が増し、武器としている190センチの長身を生かしたストライドはさらに広がった。目指すはファイナリストにとどまらない。「もちろん、メダルを取れればと思っている」と表彰台をにらむ。

前回2017年大会の失敗は苦い記憶として残っている。準決勝でスタート直後にバランスを崩して敗退し、「あれはやってしまった」。今年3月に室内60メートルで日本タイ記録をマーク。課題は改善されつつあるが安定せず、試行錯誤が続く。「スタートからつくっていかないと、後半で引き離されて勝負にならない」。準決勝を突破するためのポイントと捉える。

前回史上最年少で決勝に進んだ200メートルは、体への負担を考慮して代表を辞退した。得意種目を回避して臨む100メートルに、懸ける思いは強いはず。全米大学選手権では9秒台選手としのぎを削り、3位に食い込んで日本新を出した。「あれを経験している。今年はもっといい位置で勝負できるかな」と自信を口にする。

決勝進出のためには9秒台に近いタイムが求められそうだ。「そのレベルでまた戦えることがうれしい。やるべきことをやれば、しっかりと結果がついてくる」。日本最速スプリンターの20歳には、大舞台でこそ力を発揮する勝負強さがある。

◇帰ってきた世界記録保持者=鈴木、50キロで大舞台に挑戦
男子競歩の鈴木雄介(富士通)は長い故障の苦しみを乗り越え、再び日の丸を背負う。2大会ぶり5度目の世界選手権は、世界記録を持つ20キロではなく、初の50キロ。「1回目の出場という気持ちで、挑戦者として臨みたい」と決意を新たに話す。

2015年3月に20キロで1時間16分36秒の世界新記録を樹立。一躍脚光を浴びたが、5月ごろに股関節に違和感を覚えた。次第に痛みへと変わり、8月の世界選手権(北京)は強行出場して途中棄権。出口の見えないトンネルに迷い込んだ。「違和感があった時点でやめていれば、もっと早く復帰できていたのかな」
回復の兆しは見られず、後悔を抱えながら病院を転々とする日々。体重は6キロほど増え、引退も頭をよぎった。切れそうな気持ちをつなぎ留めてくれたのは、復活を信じ続けてくれた所属先の富士通だ。「寛大に見守ってくれたことが戻ってこられた大きな要因」。17年8月から埼玉県内の治療院に通い始めると、徐々に改善していった。

18年5月に2年9カ月ぶりにレース復帰。初めて本格的に50キロに挑んだ今年4月の日本選手権で、3時間39分7秒の日本新記録をマークして優勝を飾った。復帰からわずか1年で再び日本代表となり、自身も「予想以上」と驚きを隠さない。

東京五輪はより金メダルに近いと考える50キロで出場を目指す意向だ。腕試しの舞台となるドーハは午後11時半スタート。異例の深夜レースでも暑さは懸念され、万全の暑熱対策をして臨む。「今は心に圧倒的に余裕がある。メダルを取りたい」。世界一のスピードを武器に、日本勢3大会連続のメダルと五輪切符をつかみ取りにいく。

◇進境著しい男子跳躍陣=日本新続々、メダル候補に
日本の男子跳躍陣は今季、目覚ましい躍進を遂げている。走り高跳びの戸辺直人(JAL)は2月に室内で2メートル35の日本新記録を樹立。走り幅跳びでは8月に福井で、まず橋岡優輝(日大)が27年ぶりの日本新となる8メートル32をマークし、城山正太郎(ゼンリン)はそれをさらに超える8メートル40を跳んだ。3人とも堂々たるメダル候補として世界選手権に臨む。

戸辺は昨秋から踏み切り時に両腕ではなく右腕だけを振り上げるフォームに変え、助走も6歩に固定した。技術改良が奏功し、日本記録を13年ぶりに更新。世界室内ツアーで日本選手として初の総合優勝を果たした。

これで満足せず、2メートル40を目指して、果敢に踏み切り位置を約30センチ遠くした。今季の屋外ベストは2メートル28にとどまっているが、「徐々にかみ合ってきている」と手応えを語る。2メートル35は今年世界1位。日本選手団の男子主将も務める27歳は「五輪を見据えてメダルを取りたい」と言い切る。

走り幅跳びで世界トップレベルの助走スピードを誇る城山は、自己記録を一気に39センチも更新。瞬く間にメダルを狙える新鋭として注目の的となったが、本人は至って冷静だ。「入賞を目指して頑張りたい」。気負わず自然体で挑む。

日本選手権3連覇中の橋岡は安定感が光る。8月の福井では追い風参考を含め8メートル10以上を5度マーク。アジア選手権を制した相性のいいドーハで「8メートル40を跳んで入賞したい」と誓う。

両種目とも過去に世界選手権で入賞した日本選手はいない。勢いに乗るジャンパーたちが実力を発揮できれば、新たな扉が開かれそうだ。

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