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カリスマ投資家が実践する「お金を寝かせて増やす」積立投資

2019/9/26せっかく投資をするのなら、相応のリターンが欲しい。でも、元本割れは怖いでは、どんな商品を買えばいいのだろう──。15年以上にわたって積立投資を続ける水瀬ケンイチさん(46)の答えはシンプルだ。投資するのは、株式の投資信託1本、債券の投信1本、合計2本のみ。それも、代表的な指数に連動するインデックス投信でいい。この2つを組み合わせることで、万が一の相場の急変にもあわてないポートフォリオを作ることができるという。

(写真:iStock/PonyWang)水瀬ケンイチさんは、サラリーマンをしながら、インデックス投信でお金を運用するインデックス投資を続けてきた。2008年のリーマン・ショックでは大きな損失も経験したが、現在は数千万円の規模まで運用総額を増やしている。早期リタイアを目指して資金作りをしているため、水瀬さんの運用は、一般的なサラリーマンよりもハイペースといえるだろう。だが、紆余曲折を経てたどりついた投資手法は、スタンダードかつわかりやすく、大きな負担なく続けられる工夫に満ちている。そんな水瀬さんに、これから運用を始める若い世代に向けて、なぜインデックス投資を始めたのか、これから投資する人はどんな商品を選べばいいのか、損失を抑えるための工夫はあるのかなどについて、自身の経験を交えたアドバイスを語ってもらった。

Part1 個別株投資に疲弊した20代きっかけは老人ホームの入居費用──今回の特集は30代に向けた長期の資産運用です。水瀬さんも、インデックス投資を本格的に始めたのは30歳の頃だったそうですね。水瀬 2000年頃、20代の終わりに株式やアクティブ投信を買い始めて、2002年頃にインデックス投信での投資に切り替えました。個別株投資やFX(外国為替証拠金取引)、アクティブ投信から少しずつ撤退しながら、インデックス投信に主軸を移していき、2003年頃にインデックスに一本化しました。もう15年以上、インデックス投資を続けています。──現在の運用総額は。直近の具体的な金額は公表していませんが、2017年時点の約6000万円よりは増えています。──投資を始めるきっかけは何だったのでしょう。医療機関に勤める友人に、「有料老人ホームの入居費用はいくらか」とクイズを出されたんですね。「だいたい100万円くらい」と答えたら、「ブブーッ不正解。入居一時金で1000万円、2000万円かかって、それとは別に毎月15万円、20万円かかる」と鼻高々に言われました。当時はまだ20代だったので、知らなくて当然といえば当然ですね。

(写真:iStock/Photobuay)──それで投資に興味を持った。まずは同年代の人はどれぐらい貯金してるのかを調べました。そしたら、私は平均よりも少なかった。「え、みんなこんなに貯めてるの?」というところから始まって、老後というよりはライフプラン、人生でお金がいくらぐらいかかるのかを本を読んで調べました。結婚にも、車の維持にも、子どもが産まれたら子育てにもお金がかかる。ましてや老後なんて、年金は減っていくといわれているし、そもそも年金だけじゃ足りないぞ、ということがわかったわけです。そしてさらに、老人ホームの費用もかかる。貯金だけでは全然足りない。投資も併せてやらなきゃダメだと思いました。仕事中でも相場に釘付け──そこから、個別株やFXを始めたわけですね。なぜ、始めてから2、3年でインデックス投資へと軸足を移したのですか。個別株の投資が自分に合わなかったからです。(株式が取引される)午前9時から午後3時まで、相場に張り付いてずっと見ていないと不安でした。仕事中、パソコンの左下に、小さくブラウザを立ち上げて、My Yahoo!に登録した自分の持ち株の値動きを見ていました。株価が下がっていないだろうか、悪い材料になるニュースが出ていないかを常に監視していないと、気になってしょうがなかったんです。

(写真:iStock/mamahoohooba)株価が下落したらすぐに売らないと逃げ遅れるので、オフィスのトイレに駆け込んで、携帯電話で株の売り注文を出したりしたこともありました。何食わぬ顔をして仕事に戻るわけですが、やっぱり左下の画面が気になる。そんなことばかりで、仕事に集中できませんでした。当時はバリュー投資(企業価値や利益に対して割安な銘柄に投資する手法)をやっていたので、休日は休日で、企業の決算短信や有価証券報告書を分析したり、分厚い会社四季報をめくったりして、割安な会社を探しに費やしました。平日は相場を見張り続け、土日は分析のために全部時間を取られて、自分の時間なんてありませんでした。だから、損したから個別株投資をやめたということではなく、私の場合は性格と生活、両方に合わなかったんです。そんな時、水瀬さんは図書館でバートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』に出合う。インデックス投信を積み立てる投資法に魅せられ、インデックス投資の世界に足を踏み込んだ。Part2 インデックス投資を始めるなら金太郎飴でまず生活費の2年分の貯金を作る──年金2000万円の問題もあり、30代で資産運用を始めようと考える人が増えていますが、何を、どこから始めたらいいのかわからない人が多いです。私の個人的な考えですが、貯金が1円もないのに投資を始めても続けるのは難しいと思います。盲腸で入院したから10万円必要だとか、車をぶつけちゃって30万円修理代がかかるとか、結婚式が続いてご祝儀がかさむとか、人生にはまとまったお金が必要なことが起きるものです。

(写真:iStock/takasuu)そのたびに投資資金を取り崩していたら、お金は貯まらないし、増えません。だから、まずは月々の生活を黒字化する必要があります。家計が赤字だと、穴の開いたバケツに水をいくら注いでもたまらないのと一緒です。まずは家計を黒字にして、貯金を作る。自分と家族を守るためのお金ということで、私はこのお金を「生活防衛資金」と呼んでいます。──生活防衛資金の目安はどれくらいですか。ちょっとハードルが高いかもしれませんが、2年間分の生活費分をまず貯めましょうと提案しています。年間200万円ぐらいで生活していれば、400万円。まずはそこからです。それだけ貯めれば、あとのお金は全部投資してもいいと思っています。とはいえ、400万円も最初に必要だと言われたら、なかなか投資を始められませんよね。その場合は、貯金と投資を並行して始めてもいいと思います。生活防衛資金という名の貯金を半分、残り半分で積立投資を始めるイメージです。実際、私も投資を始めた当初はそうでした。運用資金は目的別に分けない──生活防衛資金以外の部分は全て投資に回すとして、マイホームの購入や子どもの教育資金など、10年、20年くらい先に必要になるお金と、老後のお金は分けて運用するのでしょうか。私の場合は全部一つです。将来、家を買う時に取り崩すためのお金であったり、老後の生活費であったり、投資にはいろいろな目的があると思いますが、運用資金は目的別に分けない方がいいと思います。

(写真:iStock/MicroStockHub)目的別に資金を分けてしまうと、アセットアロケーション(現金、株式、債券などの資産配分)がわからなくなってしまいますし、運用する口座の制度によって、運用の途中で取り崩しができるものと、資金拘束されるものとがごちゃごちゃになります。学資保険は途中で解約しにくい、ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)は子どもが18歳になるまで払い出しできない、一方で自分のiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)で運用しているお金は60歳まで引き出せない。一方で、つみたてNISA(少額投資非課税制度)はいつでも取り崩せる。という具合にいろいろあるので、口座によって運用商品を分けると、資産全体を見た時に、自分は今、株式に何パーセント投資しているのかを把握できなくなってしまうわけです。資産配分は「金太郎飴」にする──でも、イデコやNISAなど税制優遇のある制度を使っていくと、口座が複数に分かれることになりますよね。口座は分けてもいいんです。運用する資産の内容が同じであれば。──その場合は、イデコも、NISAも、税制優遇のない課税口座も、同じ商品構成にするということですか。私はそれをおすすめします。

(iStock/davidp)税制優遇がある口座で外国株の投信など最も期待リターンが高い資産を運用して、いつでも引き出せる課税口座には国債や債券のインデックス投信など期待リターンが低い資産を置いておくという考え方ももちろんあります。でも、税制優遇が一番大きいイデコは60歳まで資金を引き出せません。何か非常事態が起きた時に使うお金は、課税口座にある個人向け国債だったり、国債に投資するインデックス投信ということになります。そうすると、人生のピンチでお金がかかる時に、ポートフォリオの中の株式の比率が上がってしまいます。ピンチの時ほど安全資金を多くしてリスクを低くしなければならないのに、ピンチの時にリスクが高いポートフォリオになってしまうわけです。だから私は、「金太郎飴」をおすすめします。ポートフォリオにおける債券と株式の比率を、例えば7対3にすると決めたら、イデコの口座でも7対3。つみたてNISAでも7対3という具合に、ぴったり同じは難しくても、だいたい、どこを切っても、どれを取り崩しても同じ比率になるようにします。

人生では、自然災害や病気など、急に大きなお金が必要になることがあります。そういう時、どこの口座から取り崩したらいいかわからなくなって慌てないように、口座の中身をシンクロしておいて、いざという時には、どれでもいいから躊躇(ちゅうちょ)なく取り崩す。そんな金太郎飴タイプにすることをおすすめします。──口座を開設する順番は、積立投資をするのであれば、まず税制優遇の大きいイデコ、次につみたてNISA、税優遇のない口座ということでしょうか。所得から掛金が全額控除されるという税制優遇のパワーは超強力ですから、その点で言えば、イデコが最優先なのは間違いありません。ただし、勤務先の会社によってはイデコで運用できる金額が少なかったり、そもそもイデコを使えない場合もありますよね。若い方で、投資をやるかやらないかで悩んでいる人は、つみたてNISAから始めるのがいいと思います。いつでも取り崩せるし、口座開設も簡単で早い。慣れてきたらイデコという順番でもいいと思います。Part3 ポートフォリオはリスクを軸に考える投資を続けるために必要なこと──では、大事なポートフォリオの中身ですが、水瀬さんはリターンではなく、リスクから資産配分を決めるそうですね。なぜリスクを重視するのでしょうか。投資を継続するためです。暴落があっても、暴騰があっても、投資をやめないで続けるためには、自分が許容できる範囲のリスクにポートフォリオを合わせなければならないからです。平常時に突然、投資をやめる人はいません。たまに起こる、ボンッと下がる下落で、自分のリスク許容度(耐えられる最大損失金額)を超えてしまった時にやめてしまうんです。

(iStock/D-Keine)運用をしていると、100万円までの損だったら耐えられると思っていた人が、一時的に200万円のマイナスを抱えることがあります。そういった急落の場面は、後から振り返れば一瞬のことなのですが、「怖い、こんなに資産が減るの? もっと下がったらどうしよう」となって、投資をやめちゃう。そういう時にも投資を続けるために、自分の持っているポートフォリオが年間最大でどれぐらい損をする可能性があるのかをちゃんと調べて、その範囲内で一番リターンが高い銘柄を買います──投資をやめるのは良くないことですか?儲かっている時にやめる人はほとんどいません。たいていの場合、損失を抱えて投資をやめるので、こんなことだったら貯金だけしてた方がマシだったという状態になります。それは良くないに決まっていますよね。複利(元金だけでなく利子にも利子が付く計算方法)の力は、運用期間が長くなるほど大きくなります。だからなるべく長期間投資することで、複利の力を働かせやすくした方がいいわけです。自分のリスク許容度を知る──水瀬さん自身は最大許容リスクをプラスマイナス30%に設定しています。これだけの幅にしておけば、2008年のリーマン・ショックのような相場のクラッシュにも耐えられるのでしょうか。リーマン・ショックの時には想定リスクを超えてしまったので、そこは反省しています。インデックス投資を15年実践してわかったことの一つは、最悪の事態の想定は厳しめに見積もるべきだということです。

(iStock/BrianAJackson)──自分のリスク許容度はどのように決めればいいでしょう。実は、インデックス投資を始めるにあたって一番難しいのは、自分のリスク許容度を把握することなんです。全ての人に当てはまる公式みたいなものはありません。臆病な人、慎重な人、1円でも損をしたら嫌な人、いろいろですから。だから、ざっくりと目安みたいなものしかお伝えできないのですが、方法の一つとしては、金額面のリスク許容度を知ることです。まず、毎月いくら余剰資金(貯蓄可能な金額)があるかを確認します。月1万円しか捻出できない人でも、1年間で12万円の余剰資金を生み出すことはできます。ということは、年間で最大12万円の損失までは、1年で回復できると考えられます。といった具合に、毎年の余剰金額の全額、もしくは半額を最大のリスク許容度の目安にします。何パーセントの損失までだったら耐えられるかという観点から、損失の比率を目安にする方法もあります。公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオを参考に考えるのもいいでしょう。同じように比率と金額のリスク許容度を考えつつ、ポートフォリオの資産配分を決める目安として、「100マイナス自分の年齢の株の比率を持つ」という考え方もあります。30歳だったら、100ー30=70です。70%は株式に、残り30%は債券などの安全な資産にしておくという考え方です。アメリカの投資本でよく紹介されています。この考え方では、リスク許容度は年齢と共に下がっていきます。人間の寿命は限られているので、加齢とともに損失発生後のリカバリーに取れる時間がだんだん短くなっていくからです。私自身も、10年に1度のペースで、10%ずつ債券の比率を上げていっています。こうしてリスク許容度をあらかじめ定めて、その範囲に収まるようにポートフォリオ(資産配分)を作ります。──リスク許容度をどのようにポートフォリオに落とし込むのですか。私のおすすめは、世の中の経済活動そのままを取り込む方法です。世界各国の株式の時価総額と同じ比率で資産配分を作るということです。世界の株式時価総額の比率は、だいたい、日本が1割、アメリカやヨーロッパなど先進国が8割、新興国が1割で、国内株式:先進国株式:新興国株式の比率が1:8:1くらいになります。この比率が一つの目安になります。

日本株、先進国株、新興国株を1:8:1とする株式の比率はキープしたまま、これに対する国内債券の比率を高めていくことで、リスクを調整します。下の図は国内債券の比率を10%ずつ変えた場合の期待リターンとリスクの変化をまとめたものです。

これに実際に運用する金額を当てはめると、最大損失額がわかります。債券が0%の場合はかなりリスクが高いですよね。債券の比率を上げていくと、リスクの数字は小さくなる傾向があります。債券比率を上げるとリスクは下がりますが、期待リターンも下がります。でも、リスクが下がるのと同じだけリターンも下がるというわけではありません。値動きの異なる二つの資産を組み合わせると、リターンよりもリスクの方が下がります。これを分散効果といいます。この分散効果を使いながら効率的にリスクを下げるということです。株式投信を選ぶポイント──株式と債券でリスクをコントロールするという考え方はわかりました。次に、具体的な銘柄選びについて教えてください。株式投信(株式に投資する投資信託)はインデックス投信だけでもかなりの数があります。何を基準に選べばいいでしょう。私は、株式は新興国を含めた世界の株式の時価総額加重平均に連動するインデックス投信がいいと思っているんです。株式については、それ1本に全部まとめることができます。昔はこの全世界株式インデックス投信の存在を知らなかったので、私自身は日本株ファンドと新興国株の投信と先進国株投信を分けて投資していますが、これから投資を始めるんだったら、全世界株式インデックス投信を買います。すごくコストも安くなっていますから。

(写真:iStock/bee32)──全世界株式のインデックス投信は運用会社各社が出しています。結局、手数料で選ぶことになるのでしょうか。簡単に言えばそうなります。この数年、各社が手数料(信託報酬)の引き下げ競争にしのぎを削ってきた経緯があり、私はその時々の一番安い商品を買ってきたので、複数の商品を持っています。でもこれから買うならば、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」がいいと思います。eMAXIS Slimがなぜいいかというと、運用会社の三菱UFJ国際投信がクラス最安値の信託報酬を常に目指すと公言しているからです。だから、ライバルが値下げすると追随して値下げします。実際、eMAXIS Slimのシリーズはこの2年間でどんどん信託報酬を引き下げていて、常にクラス最安値の水準にあります。債券では為替リスクを取らない──債券も全世界の債券に投資する商品から選ぶのでしょうか。私は外国債券には投資していません。なぜなら、2008年のリーマン・ショックの時に、外国債券のインデックス投信の比率が高過ぎたことを反省しているからです。リーマン・ショック後の株式の暴落に加えて円高のダメージも食らってしまいました。クッションの役割を果たすべき債券がクッションにならず、むしろダメージをブーストさせてしまったのです。為替リスクはできれば取りたくないので、債券部分はクッションに徹してもらうということで、日本の債券だけにしています。商品については、日本国内の債券に連動するインデックス投信でも、個人向け国債でも、より手軽にネット銀行の預金でもいいと思いますが、どれか一つに決めるということです。

(写真:iStock/Andrii Yalanskyi)──金融緩和政策の下、現在、世界的に債券価格が高くなっています。リスクを調整する役割に影響はありませんか。今後、金利が上がる局面がくると、債券価格は下がります。つまり、金利が上昇すると債券投信の価格も下がります。特に現在は、マイナス金利という異常事態なので、債券価格は下がる余地よりも上がる余地の方が広いとも言えます。そうした状況を考えて、0.05%の最低金利保証がある個人向け国債の変動10年を私は積み立てています。1万円から毎月買えますよ。もちろん、セオリー通りに債券に投資するインデックス投信を買っても良いと思います。株式投信と同じ口座で管理できて便利ですし。ただ今は、マイナス金利という異常事態なので、代替として個人向け国債という選択肢もあるということです。いずれにせよ、国内債券で1本、株式で1本、合計2本で全年齢に対応できます。リスクについては自分で学び・考える──リスクとリターンを調整するという点では、株式や債券、REITなどさまざまな資産を組み合わせて一つの商品で分散投資できる「バランス型投信」を買う人も多いです。私はバランス型は買いません。まず、バランス型は債券も含めて運用されているので、株式と債券の比率でリスクを調整することがやりにくくなります。また、私がやっているのは、長く持つことで世界の経済成長を取り込む投資法なわけですが、バランス型だと世界経済の成長をうまく取り込めない可能性があります。世界経済の成長を確実に取り込むためには、なるべく世界経済そのものに近い形でポートフォリオを持つ方がいい。そして圧倒的に資産が大きいのは株式です。だから、株式に比べれば市場規模がずっと小さいREIT(不動産投資信託)などにも均等に投資する「8資産均等型」(国内外の株式・債券・REITに均等に投資するバランス型投信の一種)のような商品だと、世界経済全体とはずれてしまい、成長を確実に取り込むことが難しくなります。──最近はロボアドバイザーのサービスも増えてきています。水瀬さんはロボアドについてどう考えていますか。

5、6個の質問に答えるだけでアセットアロケーションを提示してくれるサービスで、その配分が合っているかどうかは別として、簡単に投資にたどり着けるという意味では、素晴らしいツールであり、サービスであるし、これからもっと伸びていってほしいと思っています。でも、今の水準では手数料が高過ぎます。ロボアドの手数料の相場は1%くらいですよね。1%という数字自体はそれほど大きくないと思うかもしれませんが、インデックス投資の年率期待リターンは4%くらいなんです。そのうちの1%ということは、利益の25%を毎年取られることになります。リターンを食ってしまうんです。手数料が0.3%とか0.4%くらいまで下がってくれば、非常に便利なサービスとして利用できると思います。──年齢に応じたリスク許容度を設定して資産配分を変える「ターゲット・デート・ファンド(TDF)」を活用するという手もありますね。

TDFは加齢に応じて株式の比率を下げて債券比率を上げていく投信ですが、そのターゲットイヤー(定年退職など目標とする期日)の時の資産配分が、自分のリスク許容度の範囲内に収まっているかどうかを考える必要があります。運用をバランス型投信やTDFだけに絞ってしまうのはラクではありますが、何もかもお任せで自分では何も考えなくていいというのは、最初の段階の一番大事なリスク許容度を考えるステップを飛ばしてしまうことになります。最初だけは、頑張って勉強してほしいんですよね。──安定運用と、ハイリスク・ハイリターンの攻めの投資とに資産を分けて運用するという考え方もあります。投資に慣れてきた人で、山っ気がある人はどんどんやっていいと思いますよ。『株式投資の未来』などの著書があるジェレミー・シーゲル博士(ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授)も、ポートフォリオの半分はインデックス投資で、半分はアクティブな運用で、という方法を提案しています。私もかつては、インデックス投資をコアにして、一部、アクティブ投信にも投資していました。結果、ことごとくアクティブ投信のリターンがインデックス投信を下回るので、アクティブ投信は売却しました。今は100%インデックス運用になっています。インデックス投資以外は全て邪道だとか、そういう原理主義的な考えをしているわけではありません。いい投資先があったら、今後もアクティブ投信なり、個別株なり、やっていきたいとは思っています。

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