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【悲劇】倒産した人気焼き鳥店が繰り返した「2つの失敗」

2019/9/26みそだれやきとりで知名度の高かった「ひびき」(埼玉県川越市、日疋好春社長)が8月20日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債は約77億949万円。秘伝のみそだれが多くのファンを生み、本社のある埼玉県や東京都など、30店舗にまで拡大。近年は海外にも展開し、表向きは有力企業とみなされていた。なぜ倒産に至ったのか。そこには、過剰な投資、そして粉飾決算という2つの大きな失敗があった。人気焼き鳥店の成長の裏側を見てみよう。

ひびき庵 別館 埼玉スーパーアリーナ店(写真:帝国データバンク)「外面」は良かったひびきは1990年、広告企画業者として創業。92年1月に法人改組した。焼き鳥の販売を本格化させたのは、95年からだ。日疋社長の実父が経営していた焼き鳥店を百貨店の催事で出店したところ、好評を集めたことから、川越市に第1号店を出店した。同社の焼き鳥は、実際には「豚のカシラ肉」を使っているのが特徴。さらに、辛みとうま味を兼ね備えた秘伝のみそだれで人気を博し、売上高は徐々に拡大を続けた。食材も国産にこだわり、食品の流通経路を公表する「トレーサビリティ」を導入するなど、その品質の高さも好評だった。その結果、年間の売上高は2008年6月期の5億4500万円から、2018年6月期には20億円を超えるまで拡大した。近年は、本社のある埼玉県内を中心に国内約30店舗のほか、イタリアやシンガポールなどの海外にも展開。同社の代名詞でもある「みそだれ」は、モンドセレクションなど数々の賞を受賞するなど、表向きには、同社の業績は好調そのものに見えた。気が付いたら「借金過多」にだが店舗数の急増などの裏で、多大な借金も膨らみ続けていた。さらなる成長を続けようと、金融機関から多額の融資を受け続けたり、金融機関系の投資ファンドから支援を受けたりした結果、有利子負債は年商を超える事態にまでなっていたのだ。特に近年は、その傾向に拍車がかかっていた。以前は年間1店舗だった出店ペースは、2013年ころから年間4店舗にまで急増。さらに、メインの事業とは別に、非食品分野にまで積極投資を試みるように。2017年には、酒類の提供・配膳を効率化するために、独自のサーバー機器の開発にも着手。以後、2年間にわたって約1億8000万円の研究費用を投じた。

(写真:9parusnikov/iStock)だが、なかなか成果は上がらずに、コストだけが重くのしかかっていった。それでも同社は歩みを止めない。今度はM&Aにも動き出すようになる。2018年から2019年にかけて、酒類等販売業者とダイニングバー等経営業者の2社を買収。ほぼ同時期に、弁当事業も譲り受けた。さらなる成長を見込んでの買収だったが、実際には想定していたほどの効果は上がらず、コストと有利子負債が膨らむばかりとなってしまった。悪循環にはまるように、順調だった本業にもトラブルが発生。収益源だった東京大手町店が2018年、テナントオーナーの都合で撤退を余儀なくされ、売り上げが大きく落ち込んだのだ。借入金過多に本業逆風。こうした経緯をたどった結果、毎月の現金収支は大幅なマイナスに陥る。このまま行くと、11月末には、手元のキャッシュがなくなる「資金ショート」になることが明らかとなった。そのため、ついに法的整理を決断したという。

(写真:jonathanparry/iStock)借金が招いた「2つ目の失敗」この過剰投資だけであれば、経営の失敗として片付けられていたであろう今回の倒産劇。だが、同社の失敗は、もう1つある。粉飾決算だ。約10年前の2009年から繰り返し行っていたことが、今年発覚した。まず最初に手を染めた2009年。背景には、多額の投資を重ねていたことに加え、以前から日疋社長の実父による借金を負担していたこともあり、資金繰りが厳しい状況にあったことがある。こうした事態に耐えきれず、ついに法人税を滞納し、それが金融機関に発覚してしまったのだ。このままでは取引継続が困難になることから、3000万円の架空売り上げを計上。そのときは、金融機関との関係を維持し、滞納税金を完済した。加えて、同社は2011年にも再び粉飾決算に手を染めてしまう。今度は東日本大震災が発生して、業績不振に陥ったことが原因だった。その後も架空売り上げを計上し、固定資産の過大計上という経理処理で、つじつまを合わせる粉飾を重ねていた。粉飾発覚後の2019年6月期の売上高は12億2000万円。前年同期の約20億7400万円の6割以下に大きく落ち込んでいる。さらに、営業利益がマイナス約11億9000万円(前年同期:約3億3000万円)、経常利益マイナス約14億7400万円(同:約8000万円)、純利益マイナス14億7400万円(同:約4000万円)など、それぞれ大きく乖離(かいり)がある。このことからも、とても大がかりな粉飾であったことがうかがえるだろう。

過剰投資や粉飾決算を重ねたことで迎えた今回の末路。日疋社長の父親による借金を肩代わりしていたことから、少しでも早く、そして大きく成長させようと、前のめりになりすぎてしまったことで、今回の結果を招いてしまったのではないだろうか。そのような積極性は、もちろん企業の成長にプラスになることもあるが、行き過ぎは考えもの。まして、粉飾決算を繰り返していた点に同情の余地はない。債権者説明会では、不正リースに対する質問の声も上がった同社。どのように再建を図るのか、注目していきたい。

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