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営業部門が結果を出すための強力な武器になる「2つの思考法」

営業に限らず、ビジネスでは「考えの範囲の広さや深さの差」が結果につながる。しかし、やみくもに考えてもうまくはいかない。どのように考えたらいいのだろうか。(AKTANA International LLC プリンシパルコンサルタント 高橋洋明)

思考力を鍛え上げれば
営業として強力な武器になる

『上から目線、やたらとダメ出しする人ほど「考えない人」が多い理由』)は、「考えない人」が企業や組織を衰退させることをお伝えした。そして、私たちが「考えない人」にならないようにするためには、トレーニングとして、まず世の中のさまざまな出来事に対し自分なりの答えを出し続けることもお伝えした。

このような取り組みを続け、思考力を鍛え上げれば、営業として強力な武器を手に入れたも同然だ。

 このコラムで何度かお伝えしているように、(1)思考力をライバル以上に鍛え上げ、(2)顧客の課題やニーズをライバル以上に正確に把握し、(3)顧客に対してライバル以上のクオリティの提案をすれば、ビジネスで結果を出しやすくなるのは自明の理だからだ。

 どのような職種でも同様だが、「考えの範囲の広さや深さの差」がビジネスで得られる結果の差につながることが多々ある。

「考えの範囲の広さや深さの差」に加えて、軽やかに仕事に取り組んでさっさと結果を出していくことが理想的だ。

 考えるだけでなく、それを実行することも、あらゆることで結果を出すために必須だからだ。

 では、考えの範囲を一層広く、深くするにはどのようにしたらいいのだろうか。自分なりの答えを考え、出し続けるだけで、私たちの考えの範囲は広く深くなっていくのだろうか。

 自分なりの答えを考え続けることは、考えない人よりははるかにマシなのだが、ただやみくもに考えてもうまく考えがまとまらなかったり、アイデアが出てこなかったり、考察が浅いまま思考が終わってしまうこともあるだろう。

 そのような状況を避けるためには、どのように考えることが望ましいのだろうか。

最も大切なのは
問題の本質をつかむこと

 まず最も大切なことは「その問題の本質は何か」をつかむことだ。

「問題の本質」が何かが分からなければ、何が問題なのか、何を解決するのか、問題をどのように解決すれば良いのか、解決できれば問題は本当に解消されるのかが分からない。

 忙しい中、不適切な解決法を実行することで時間もコストも無駄にしてしまうことは、皆様にとっても企業にとっても避けなければならない。

 だから、問題の本質をつかむことは、問題解決の第一歩であり、基本中の基本なのだ。

 では、問題の本質をつかむ最適な方法は何だろうか。

 このことを考えること自体も思考を鍛えることにつながるので、ぜひ考えてみてほしいが、一番早いのは「ロジカル・シンキング」と「クリティカル・シンキング」の書籍をそれぞれ1冊ずつ購入し、その内容を実践することだ。

 簡単にロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングについて触れておこう。

◎ロジカル・シンキング:問題を分かりやすく整理・分類して、解決方法を考える際の助けとする思考法

◎クリティカル・シンキング:問題の前提が本当に正しいかを疑いながら、問題の本質を明らかにする思考法

2つの思考法を
組み合わせて考える

 この2つの思考法は、どちらが正しいのか?とか、どちらが有用なのか?という比較対象ではない。

 むしろ、ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングを組み合わせて考えることで、効果的・効率的に、問題や思考の抜け漏れを最小限に減らし、問題の本質に迫るように考えることができる。

 例として、ある会議で次のような問題提起とその解決案の議論がなされたとしよう(実際にあった事例を簡素化している)。

<問題>
・営業部門が不振で、売り上げが伸び悩んでいる。
・競合他社は、「あなたが担当している製品と似た製品」を安価に販売することで、市場のシェアを伸ばしている。
・営業担当者の営業スキルが「他社の営業担当者に比べて劣っている」との報告がある。

<解決案>
・営業担当者の営業スキルを高める研修を実施し、営業担当者の営業力を強化する。
・製品の価格を見直し、競合他社よりも安価な価格にすることで、シェアを獲得する。

 このような検討がなされることは、皆様にとって身近なことではないだろうか。私自身、このような議論を聞くことがよくある。しかし、この問題提起から解決案の策定までを細かく見ていくと、おそらく皆様は違和感を抱くだろう。

 例えば、

「他の人は成績が悪いかもしれないが、自分は目標を達成している」
「他の人と自分を一緒くたにして『営業部門全体が不振』と言われたくない」
「安易に価格を下げて、利益額・利益率が低下するのは、経営上問題ではないのか」
「競合の営業と比べて自分が劣っていると言われるのは心外だ」

 などと言いたくなる営業もいるだろう。

 私も上記の解決案には違和感を覚える。

ロジカル・シンキングと
クリティカル・シンキングの実例

 営業が不振という場合、シンプルに考えれば

・製品が良くない(顧客のニーズに合致しない、使い勝手が良くない、顧客のメリットが不明瞭など)
・マーケティング(情報収集や分析の不足、顧客のターゲットが不適切、4P〈Product、Place、 Promotion、 Price〉の検討不足など)が良くない
・営業(スキル、人柄、知識、コミュニケーションなど)が良くない

 のいずれか、もしくはこれらの複数が該当する。

 ただ、このままでは具体的で効果的な解決案を導くことは、非常に難しくなる。手の打ちどころがまだまだ不明確だからだ。

 では、同様のケースにおいて、ロジカル・シンキングやクリティカル・シンキングでは、どのような思考をするのだろうか?

<ロジカル・シンキングによる思考>
・支店等の営業チーム、営業担当者ごとにこれまでの実績をグラフ化して、どこが売り上げを伸ばしているのか?どこが苦戦しているのか?を明らかにしよう。
・どの製品の売り上げが伸び悩んでいるのか、データを確認しよう。
・競合他社がどのような製品戦略、マーケティング、プロモーション、価格設定、販売チャネル等を取っているのか、調査しよう。
・自社および競合他社のそれぞれの製品を、消費者はどう感じているのかリサーチしてみよう。
・これらの取り組みから得られた結果を、影響の大きさや解決の難易度、解決のために必要な予算額などで分類して、解決すべき順番を決めよう。

 といった考え方ができるだろう。

 多くのビジネスの場面では、分からないことをそのままにして対策を練っても、無駄に終わることの方が多い。

 そのような無駄をなくすためにデータを活用し、状況を把握・整理した上で論理的に物事を考えることから始めることが望ましい。そのためのデータ活用や調査の検討の例が前述の思考だ。

 また、データが取れない、そもそもデータがない、という場合も多々ある。このような場合は仮説を立てて検証することになる。

 仮説を立てる場合でも、まずは実際に起こっている事柄やデータから仮説を立てる方が、問題の本質に近づきやすくなる。

 また、その時には同僚や上司との検討も有用だ。視野が広がり、さまざまな意見から多角的な検討ができるからだ。

<クリティカル・シンキングによる思考>
・売り上げが伸び悩んでいるというのは、何に基づいて言っているのか?
・対前期比・対前年比・今期の目標などいくつかある指標のうち、何との比較なのか?
・それらとのギャップはどれくらいあるのか?
・競合他社が市場シェアを拡大しているのは、安価だけが理由なのか?他に理由はないのか?
・競合他社はどのようなプロモーションを行っているのか?
・自社製品と競合品の品質や使用感、デザインなどで特筆すべき差はあるのか?
・営業担当者のスキルが低いというのは、どのような理由でスキルを低いと言っているのか?その根拠は何か?

 などの考え方が例として挙げられる。

問題の本質を
論理的に明らかにする

 よくいわれる「So What?」「Why So?」を使えば、上記のように考えやすくなる。

 このように、ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングは同じ問題でも見方や考え方が違うので、組み合わせて考えると飛躍的に思考の範囲が広くなり、深くなる。

 だから営業としてもこの2つの考え方は、知っておいて損はない。むしろ覚えて使い倒せば、結果を出しやすくなる。

 ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングの両方を行うことは、問題の本質を論理的に明らかにすることにも非常に役立つ。

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