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上から目線、やたらとダメ出しする人ほど「考えない人」が多い理由

ビジネスや営業では、考えることが重要だ。しかし、実際の職場では「考えない人」の方が周囲から「仕事ができる人」という誤解を生みやすい。このため、最近は「考えない人」の方が昇格しやすい傾向にあり、会社や組織に悪影響を与えている。(AKTANA International LLC プリンシパルコンサルタント 高橋洋明)

社会人になって
年数がたつほど考えなくなる

 前回、ビジネスにおいて「考えない人」が企業内・組織内に増えていることと、「考えない人」が企業や組織を衰退させていくことを見てきた(参考記事:『自分で考えない人ほど「仕事ができる人」と勘違いされ、昇進する理由』)。

「考えない人」は、危機回避の意識が強く、失敗を恐れるために自分ができることしかやらない。しかし、自分ができることはたくさんの数をこなすために、自身も周囲も「考えない人」のことを仕事ができる人と勘違いしやすい。

 そして「考えない人」が企業や組織の中で昇進すると、その企業や組織がチャレンジしなくなり、競合他社との競争力を徐々に失い衰退していくことをお伝えした。

 もっと身近な例では、

 ・最先端の知識・情報・考え方・スキルなどを理解できず、議論についていけないベテラン
 ・指示を出すときに、過去の自分の成功経験に基づいて部下に指示するが、指示が具体的ではないため(例:今月あと○○円売ってこい! とにかく顧客に会ってこい!など)部下が適切に行動できなくする上司

 などはどこの企業や組織にもいるし、後を絶たない。

 皆様の中にも、このような上司への対応に苦慮している方がいるかもしれない。

 このような状況は、誰も望まない。しかし現実として起こっている。

 では、私たちはこのような「考えない人」にならないようにするために、どうしたらいいのだろうか?

 ベテランのビジネスマンで物事を深く考えない人であっても、新卒の頃はもっと考えていたはずだ。

 そのような人が、社会人になってかなりの年数がたつと、なぜ考えなくなってしまうのだろうか?

人間の脳は
本質的に省エネモード

 脳科学の研究では、人間の脳は本質的に省エネモードであることがわかっている。

 例えば脳は、「従来とは全く違う思考や業務を行うこと」よりも「ルーティン」を好む。

 これは毎回、新しいことを考えること自体が、脳にとって負担だからだ。

 だから脳は、常に負担が掛からないようにしようとする性質を持つ。この性質が人を考えなくするように働いていると考えられる。

 ビジネスマンであれば、新人の頃は何もかも新しいことばかりで、学ばなければならないことだらけだから、常に脳は活性化している状態だ。

 ところがビジネスマンとしての経験をたくさん重ね、ベテランになり、ある程度のことはさほど頭を使わなくてもこなせるようになってくると、状況は変わってくる。

 負荷なくスムーズに思考や業務ができるのであれば、脳はそれをよしとして、それ以上のことをやらなくなっていく。これが「考えない人の脳」がなす仕業だ。

 また、その人の価値観や特性などが、「人を考えなくするように影響している」ことも、脳科学や心理学などの複数の研究でわかっている。

 心理的に「失敗したくない、リスクを取りたくない」と考える人は、今やれることを手堅くこなすことに集中してしまい、新しいことにチャレンジしなくなっていく。そしてそれに伴って、次第に物事を考えなくなっていく。

 こうして「考えない人」が徐々に形作られていくのだ。

 実はこのメカニズムは、「上から目線の人」を作り出すメカニズムと全く同じだ。このことをワシントン州立大学が研究で証明している。

 この研究では、200人の学生を対象にさまざまなアンケートやIQテストなどを実施した。

 そして、回収したアンケートを分析したところ、

 ・「人間は頑張れば将来変わっていけるし、能力も知性も変えられる」と思っている人と比べ、「人間はそもそも頑張っても変われない。能力も知性も変えられない」と思っている人の方が仕事で他人にダメ出しをする、上から目線になる

 ということがわかった。

自分に自信がないと
一層失敗を回避しようとする

「人間は頑張っても変われない」という強固な信念を持つ人は、「頑張っても変わらないのだから、無理をしちゃいけない、失敗をしちゃいけない」という危機回避の心理が働き、結果として簡単な作業しかやらなくなる。

 さらに、自分に自信がないと、一層失敗を回避しようとする。

 そして、簡単で単純な作業をたくさん抱え、もしくは自ら簡単な作業を作り出して自分の時間を減らしてしまい、「自分は忙しい、時間が足りない、自分はとても仕事をしている、だから自分は仕事ができる人だ」と勘違いしていく。

 考えない人が勘違いしたまま昇進したら、自分が正しいことを証明されたような誤解を生み、その信念は一層強固になる。

 このような人は、皆様の勤務先にも顧客の中にもいるのではないだろうか。

 この「上から目線の人」と「考えない人」の背景には、

 ・失敗しちゃいけない
 ・危機を回避したい
 ・責任を取りたくない

 などと、共通する心理が働いている。

 これは多かれ少なかれ、誰しもが思うことだろう。

 そして、これまで見てきたように「考えない人」が生み出す結果が、企業や組織に望ましくないことがあるのだ。

 とはいっても、私たちも「考えない人」になってしまいかねない危険はある。

 私たちが「考えない人」にならないためには、どうしたらいいのだろうか?

 まず、常に自分自身の答えを出すことをしてみよう。

 これは私が製薬企業の営業職(MR : Medical Representatives)だった時に、担当していたベテラン医師から教わったことでもある。

トレーニングしなければ
頭が悪くなる

 その医師は、さまざまなニュースを見聞きするたびに必ず自分の意見を述べていた。政治、国際問題、経済、芸能、スポーツ等、必ずご自身の意見や解釈を周りの医師だけでなく、私にも話してくれた。

 そして、その指摘や見解が、後日そのような結果に至ることを私もたくさんみてきた。

 ある時、私はその医師に「なぜ先生はニュースからその後のいろんなことを言い当てられるのでしょうか?」と尋ねたことがある。

 その時、医師は「俺はいつも、いろんなニュースに対して自分で必ず答えを出している。簡単に答えが出ないこともあるが、とにかく考えている。それでも俺が言ったことがその通りになることなんて、3割以下だと思うよ。でも、それでいいんだ。当たっていても外れてもいいんだ。外れたら、なぜ違う結果が出たのかを考えることが大事なんだ。考え続けることはトレーニングだし、トレーニングしなければ頭が悪くなる」と教えてくれた。

 そして、「モノを知らないということは、実は大変恐ろしいことなんだ」とも教えてくださった。

 それ以降、私もさまざまなニュースを見て自分なりに考える癖をつけるようになった。

 大切なことはニュースを見た後、そのことによって自分の生活や仕事などにどのような影響が出てくるのかを予測し、適切な対応をすることだ。

 ニュースから新たな情報を得ただけでは、情報の活用不足だ。

 さまざまなニュースが関連を持っていることもある。国際問題や経済などは最たる例だろう。これらのニュースは、その背景に歴史や宗教、思想などが絡むこともある。

 今日起こった国際問題が、6ヵ月後に国の経済に大きな打撃を与え、1年後には私たちの勤務先が倒産するかもしれない。

考え続けることには
さまざまなメリットがある

 リーマンショックを経験した方ならわかるだろう。

 同じニュースを見ていても、

 ・ただニュースを見ている人
 と、
 ・ニュースの内容が今後どのようなことに影響が出てくるのかを考え、将来どうなるのかまで考える人

 がいる。

 もちろん後者の方が知っている情報量・知識量・思考の深さが前者を圧倒する。モノを知らなければ考えることができないからだ。

 逆に「テレビのニュースで言っていたから」としか言わない人は、物事を深く考えることが苦手な「考えない人」である可能性が極めて高い。

 考え続けていくと、必ずわからないことが出てくる。それを自分で調べ、言葉の意味や仕組みなどを理解していくと、自分が知らなかった世界が急速に広がっていく。

 この積み重ねが営業として顧客と面談しているときに、話題の深さや広さにつながり、面談が弾むようになった。

 顧客からも「いろんなことを教えてくれる」と重宝がられた。

 そうなれば、一層営業しやすくなるし、もちろん結果もついてきやすくなる。

 このように、考え続けることにはさまざまなメリットがある。

 私たちは考え続けることで、「考えない人」にならないようにし、組織や企業を衰退させることなく、脳の省エネモードに負けず、さまざまな情報を得て、学び続け、ライバルの先を行く営業になろう。

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