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堤防・ダム、能力に限界=政府、決壊箇所分析へ-避難対策で補完も

 台風19号により、広い範囲で大雨による河川の氾濫や堤防の決壊が相次ぎ、各地で浸水被害が広がった。政府はこれまで巨額の費用を投じて堤防やダムを建設し、水害に備えてきた。しかし、近年は大規模な水害が頻繁に起こり、堤防やダムの能力にも限界が見え始めている。政府は「今や全国どこでも水害の危険はある」(国土交通省幹部)として、堤防やダムの機能を高めつつ、住民に確実な避難を促す対策にもさらに注力する方針だ。

 国の治水関係事業費は1990年代後半に当初予算ベースで1兆3000億円規模に達し、堤防やダムの建設工事は最盛期を迎えた。現在も「国土強靱(きょうじん)化」の旗の下、8000億円台を確保している。

 それでも近年は水害が頻発。15年に関東・東北豪雨、17年は九州北部豪雨が起きた。昨年の西日本豪雨では死者・行方不明者数が約250人に上り平成最悪の豪雨災害に。政府はこれを教訓に、20年度までの3カ年対策として、被害が想定される全国120カ所の河川での堤防強化などを目指したが、そのさなかに今回の災害が発生した。
 台風19号により、16日午後1時の時点で全国59の河川で90カ所の堤防の決壊が確認された。ダムについても、貯水が容量近くまで達した際に放流する「緊急放流」が6カ所で行われ、塩原ダム(栃木県)下流では浸水被害が発生した。放流は規則に沿ったもので、国交省は「広範囲で大雨が降ったことで支流の河川からの流量も多く、ダムがあっても下流に浸水被害が生じた」とみており、水害を防ぐのが難しかったようだ。
 今後の対策として、国交省はまずハード面での点検を進める見通し。各地方整備局は専門家による調査委員会を立ち上げ、堤防が決壊した国管理の河川の復旧と原因究明を始めた。本省の幹部は「各河川で共通した構造上の問題などが明らかになれば、政策としての見直しを行う可能性もある」と話す。
 しかし、人口減少が進み、公共事業に配分できる予算額に制約がある中、堤防とダムの機能強化を進めるのも限界がある。そこで、国交省は防災アプリの情報を基に遠くに住む高齢の家族に避難を促すよう呼び掛けるキャンペーンを始めるなど、ソフト対策にも力を入れている。別の幹部は「ハード面では想定外の災害も十分予想される。そのときに備え、住民の『避難する、逃げる』意識を啓発するのもわれわれの仕事だ」と強調する。

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