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いずれ議論不可避 消費税の「段階的増税論」とは

 10月1日、消費税率が8%から10%へ引き上げられた。10%超への追加増税については、安倍晋三首相が「今後10年、必要ない」と述べ“封印”したが、高齢者の増加で医療、介護など社会保障費が膨脹しており、「議論はいずれ避けられない」との見方が多い。仮に追加増税の議論が始まった場合、アイデアの一つとしてささやかれているのが、税率を小刻みに引き上げる“段階的増税論”だ。


 「現時点で(消費税率を8%へ引き上げた)平成26年のような大きな駆け込み需要はみられない」。安倍首相は今月15日の参院予算委員会で、こう答弁した。

 政府は10%への増税にあたり、令和元年度当初予算に盛り込んだ2兆円超の「臨時・特別の措置」のほか、住宅ローン減税の拡充、食品などの税率を8%へ据え置く軽減税率の導入など、合計6兆6000億円分の景気底上げ策を打ち出した。

 足元の消費動向が安倍首相の答弁通りなら、政府の打ち出した対策が奏功したことになる。今後、米中貿易摩擦などによる世界経済減速の影響も見極める必要があるが、景気が腰折れするような事態にならなければ、今回の消費税増税は“成功”といえる。

 財務省にとっても、今後、消費税増税を続けていく突破口になりそうだ。税収増と歳出削減で借金を減らす財政再建を進めることは、財務省の“使命”。加えて、景気に左右されず広く税金を集められる消費税を拡大し、増税で歳入が伸びれば差配できる予算が増えれる。政治家や官庁に対し、大きな影響力を持つことができる。

 増えていく社会保障費に関しては、「10%の消費税だけではまかないきれない」(自民党関係者)との意見が多い。

 政府の試算では、医療や介護、年金などの公的サービスに充てる社会保障給付費は22年度に190兆円と、現在の約1・6倍まで増える。政府は今年9月、「全世代型社会保障検討会議」をスタートし、幅広い改革のあり方を議論し始めたが、高齢者の負担増などの改革は難しく、いずれ10%超への増税は不可欠というわけだ。

 経済界でも同様の声があり、経済同友会の桜田謙悟代表幹事は10月1日の記者会見で、財政規律を維持するため「(消費税率は)7年には14%以上になることが望ましい」と話した。

 かりに10%超への議論が始まれば、最も重要なのは、経済に打撃を与えない方法での増税だ。

 この観点で財務省関係者の間でささやかれるアイデアの一つが“段階的増税論”。ある関係者は、「税率の最終的な引き上げ目標を決め、それに向け、たとえば0・5%ずつ、ゆっくり引き上げれば、経済へのマイナス影響を抑えられるだろう」と話す。

 海外では「0・5%」ほど小刻みではないものの、少しずつ消費税率が引げられてきた例がある。たとえば、ドイツは1968年に付加価値税(消費税)を税率10%で導入し、98年の16%まで、タイミングをみながら1%ずつ引き上げきた。

 10%超への増税に関しては、低所得者層の家計負担を和らげるため導入された軽減税率を8%へ据え置く案もささやかれる。

 現在、軽減税率の対象となっているのは、酒類、外食を除く飲食料品と、週2回以上発行されている定期購読の新聞だ。導入は平成28年の消費税法改正で決まった。ポイント還元策などほかの景気下支え策と違い、期限がなく、法律が改正されない限り続く制度となっている。

 「(軽減税率の対象品の税率を)8%から引き上げ、2桁税率などにすることはできないだろう」。財務省関係者はこう指摘する。もし引き上げれば、低所得者層の反発などが強まるとみられる。

 もっとも、追加増税については、安倍首相が7月の党首討論会で「今後10年間くらいは必要ないと思っている」と断言した。2回も増税した安倍首相が、令和3年9月に迎える自民党総裁任期の満了までに、さらなる増税を検討する可能性は極めて低い。追加増税のあり方がどうなるかは、「ポスト安倍」の後継首相がとる政策方針にかかっているといえそうだ。(経済本部 山口暢彦)

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