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【解説】過去10年間のデータで見る「淘汰される事業」の傾向

2019/10/31今年も残すところあと2カ月。帝国データバンク情報部では、毎年この時期に1年間の倒産件数の見通しについての話題が増えてくる。2010年以降は減少傾向が続いてきた倒産件数。だが2017年以降はその傾向に変化が見られ、今年は9月末時点で前年を2.6%上回っており、通年でも増加になりそうだ。さらに、業種を細分化した「事業内容」(帝国データバンクの基準)ごとに見ると、同年以降で最多ペースの倒産件数を記録しているのが、10分野あることが分かった。淘汰が進んでいる分野には、どのような傾向があるのか。帝国データバンクが分析した。

リーマン後に「倒産が減った」理由まず、今年の倒産数を見ていこう。帝国データバンク調べによると、全国の企業倒産の件数(法的整理、負債1000万円以上)は、9月末時点で6137件。このうち、業種別(大分類)では「サービス業」(1437件、構成比23.4%)と「小売業」(1429件、同23.3%)、がほぼ同じくらいの割合で多かった。続いて、「建設業」(1040件、同16.9%)、「卸売業」(896件、同14.6%)などの倒産が目立った。また、負債額別では「1億円未満」が全体の75.5%にあたる4631件と、小規模倒産が大部分を占めた。50億円以上は20件で、0.3%しかない。この傾向は例年通りと言える。続いて、2000年代に入ってからの企業の倒産件数の推移だ。

2008年のリーマン・ショックの影響を大きく受けた翌2009年に1万3306件となり、2000年以降で最多を記録。だがその後は、厳しい資金繰りに苦しむ中小企業を救うこと目的とした「中小企業金融円滑化法(通称モラトリアム法、2009年施行)」や、私的整理の一種である「事業再生 ADR」の活用などにより、倒産件数は減少傾向に。2018年は、2009年比で約6割の8063件にまで減った。しかし、2017年以降を見ると、減少ペースにブレーキがかかっている。2010年〜2016年は右肩下がりで減少していたが、2017年はこの期間で初めて前年を上回った。今年も9月時点で、前年同期より154件(2.6%)増えている。このままのペースで倒産件数が推移すれば、2019年は8200件前後となり、2018年を上回りそうだ。淘汰される「10分野」続いて、事業内容別の倒産件数の推移である。2010年以降で、2019年が最多ペースとなっているのは10分野。

「パン小売業」、「中古品小売業」、「新聞小売業」(新聞販売店・取次店)、「学習塾」などである。パン屋は高級食パンブームなどに伴う新規店舗の出店が相次ぐ一方、昔からある町のパン屋さんを中心に客数が減少。経営者の高齢化なども加わって倒産が増えている。また、菓子店も同様の傾向で、この連載で報じたように街のケーキ屋が減りつつある。「中古品小売業」は、地域のリサイクルショップを指す。スマートフォン(スマホ)が普及し、フリーマーケットアプリの「メルカリ」、ネットオークションの「ヤフオク!」の利用者が増えたことで、これらのリアル店舗は需要が大きく減少している。新聞を各家庭に届ける販売店などの「新聞小売業」も苦しい。日本新聞協会によると、発行部数は2010年の約4900万部から、およそ2割減の約3900万部に。1世帯あたりの部数も同じ比較で、0.92部から0.70部に低下した。この「新聞離れ」は、スマホでニュースが見られるようになったことが影響しているとみられる。全国紙でも、リストラや支局の統廃合などが起こり始めるなどの動きも出始めており、販売店の減少は今後も加速するのではないだろうか。「学習塾」は少子化やインターネット上で学べる「eラーニング」が主要因となっていると思われる。これらの業種はスマホの台頭など、時代変化に対応できずにいる企業が多いのだろう。その半面、「メルカリ」のように、時代にマッチしたサービスを提供する企業が大きく伸びる可能性も持つ。二極化の傾向が強まっていくのではないか。今後は「銀行優位」にこれらの10分野に限らず、今後は他でも倒産企業数が増えることが予想される。

(写真:golubovy/iStock)金融庁は、モラトリアム法の名残で金融機関に求めていた「貸付条件の変更実施状況の報告」を、3月末をもって休止した。また、不良債権処理のため厳格な資産査定基準を定めた「金融検査マニュアル」も12月を目標に廃止。これまでは過去の財務内容などを基に、債権者を「正常先」「要注意先」などと格付けしていたが、将来性を踏まえながら、「引当金」などを柔軟に計上できるようになる。これらにより、再生のめどが立たない「ゾンビ企業」への融資は減る。今まで以上に淘汰されていくはずで、取引先のさらなる精査が必要になるだろう。

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